晴斗side


【工芸室】


扉の前で、突っ立って只今30分経った。



先生が、来ない。



あの野郎、人呼び出したあげくなんて仕打ちだ。


俺に恨みでもあるのか?


あーもー!!


帰ってや「悪い悪い!!遅れた!!」



「先生、工芸室、ここであってますよね?30分も来ないので、俺が場所間違ったかと思いました。あっててよかったです。」



「わ、悪い…。お前、笑顔で嫌み言うとめちゃくちゃ怖いぞ?」


んなの知るか。


ていうかそんなことはどうでもいい。



「で、なんですか?部活なら入りませんからね」



「まぁ、そんなこと言うなよ。Mr.雨辻」



…?なぜいきなりMr.?



英語の必要性…



「10才、Jr.セントラルリーグ二位。12才、Jr.日本トーナメント 夏 優勝。13才春、夏 3連覇。14才、Jr.世界競泳大会一位。」



「なっ…!」


「これ、お前の功績だろう?なんでやめたんだ。」


「…先生、人違いですよ。水泳なんて、」


「いや、お前はMr.雨辻だ。朝、塩素で髪がって言ったよな?塩素で髪がどうこうなることなんてプールくらいだろ。」



「…そうとは限らないと思いますけど。なにが言いたいんです?」



「ウチの競泳部、入れよ。」



「嫌です。」


「お前の才能が惜しい。」


“才能”


“天才”


“羨望”


「やめてください。あんたに何がわかるんですか。だいたい俺は水泳なんてやってないですよ。」


知り合って間もないやつになんでこんなこと言われなきゃならないんだ。



「…水泳には関わりたくないか?」



「別に…。」



「俺にはそうは見えない。」



「だから、あなたになにがわかるんです?」



「…。考えてくれ。プールはいつでも入っていいからな」


カシャッ


「鍵…?」


「プールのな」


「もらっても、意味ないですよ。」


「合鍵だ、もっとけよ。」