部屋の真ん中に座り込みながら溢れる涙をポタポタカーペットに落としていた。

散らばっていた出される筈の無い冬也さんへの手紙をかき集めて、宝箱の1つにしまった。
その宝箱を何処にしまおうかと見回すと、1冊だけブックカバーがしてある本を見つけた。
母はブックカバーをしない。精々表紙を裏返しているだけだったので、あんなに丁寧にカバーがしてある本は本棚の中でも目立っていた。

私は宝箱を床に置いてカバーがしてある本を取り出した。
母の大好きな作家の本だった。
パラパラ捲ると2通の封筒が私の足元に落ちた。

エアメールに使う封筒と便箋だった。
1通には冬也様と書かれていて、封がしてあった。
もう1通は宛名は私で封もされていなかったので、手紙を取り出し読んだ。