私は智恵美さんの家の匂いを早く消したかった。
そして、母が何故あの人とずっと《友達》だったのか一生懸命考えていた。


母は好きな人に頼まれたからって、友達になるような人ではない。
母はそう言うところは頑固で、自分の意思であの人と一緒に居たんだと思う。


でも、それなら尚更分からない。
軽い女性が大嫌いだった母。
なのにずっと一緒に居た…。


グルグルと頭の中が混乱していた。


私はハッとした。
母はよく独りで考え事をするとき河を眺めていたと聞いたことを思い出した。
もしかしたら、何か分かるかも…。


私は母が眺めていた河に行ってみることにした。



時刻はもう直ぐ夕方になろうとしていた。
私は電車に飛び乗った。


ドアの所から流れる景色を眺めていた。
まだ夕方の手前で黄色く色付いた景色…。
何個目かの駅を過ぎると河が見えた。
母がよく見ていた河だ!


電車はその河を渡った先に停まった。
私は電車を降り、河がある方向へ歩いて向かった。


その間も母とあの人の関係が私には理解できてなかった……。