黒板の座席表をみて、思わず舌打ちをした。
ったく。
一番とか本当最悪だ。
粟井って名字を何回恨んだことか。
これで何度目かわからない。
しぶしぶと廊下側の一番前に座る。
「粟井って、雛中の粟井だろ?」
隣の席の奴からいきなりそう言われた。
雛中(ひなちゅう)
雛山西中学校(ひなやまにし)の略。
俺たちの出身の中学校だ。
「ああ」
「オレ、三中でさハンドしてんだよ!」
三中(さんちゅう)
三宮中学校(さんのみや)の略。
県大会でベスト16にはいるくらいのチームだな。
「三中か!ポジションは?」
と俺は聞き返す。
「オレはキーパー!
粟井はセンターバックだよな!有名だし!
つか、同じ高校とか感動!部活するだろ?」
「まぁ、そりゃぁな!」
確かにここよりハンドが強い高校から推薦きてたけど。
電車通になるし
あいつらと離れるのも嫌だったからな。
だから、この高校の推薦がきたときは迷わず受けた。
「まじかよ~!
一緒にプレーできんじゃん!宜しくな!」
人懐こいのか、がんがん話しかけてくるコイツ。
「ああ、お前名前は?」
「あ、オレ
掛井(かけい)亮太(りょうた)、宜しく」
「宜しくな」
といった時先生とやらが入ってきた。
タイミング良すぎて掛井と笑った。