「いってきまーす!!」

桜舞い散る4月の空の下
春を知らせてくれるような 暖かい風を肌に感じながら 私は家の中に向かって叫んだ。

「待って美月!! お弁当忘れてるわよ!」
「あっっ! ありがとうお母さん」

玄関に走ってきたお母さんから お弁当箱が入った黄色い巾着袋を受け取った。
「もう。入学早々 周りに迷惑かけるようなことはしないでちょうだいね?おてんば娘さんっ!」
「わかってるって。じゃ、行ってきます!」
「いってらっしゃい! 気をつけるのよ〜」

ニコニコと笑うお母さんに負けじと笑顔で手を振った私は 受け取ったばかりの巾着袋をカバンに詰めながら歩き始めた。