宮武先輩と冬月先輩が子どもになる原因となった化粧水の開発のほとんど中心になっていたのは、宮武先輩だ。
宮武先輩はふわふわしているように見えて、実は学年主席兼成績優秀者奨学金生で、かなりの秀才だ。
その肝心な宮武先輩が幼児退行してしまった今、新薬の開発を世理子と神奈子の二人に任せるのは多少の不安が残るけど、この策しかなかった。

「日奈お姉ちゃん、早く起きて。知らない人きてるの」

「知らない人?」

私は宮武先輩の一言で飛び起きた。
姉が帰ってきたのだろうか。それにしたらあまりにも早すぎる。
かと言って、両親が帰ってくるという話も聞いていない。

「知らない人と、雪人くんがケンカしてて、ぼく困っちゃった。だから、お姉ちゃんも一緒にきて」

私は馬乗りになっていた宮武先輩を下ろし、宮武先輩の後についてリビングへ向かった。