「日奈お姉ちゃん起きて! 朝だよ!朝!」
翌日。
私は目覚まし時計が鳴る前に、宮武先輩の声とお腹の重みで目を覚ました。
「うー、もうちょっと寝かせて...」
重い瞼をゆっくり開けると、私のお腹の上に、宮武先輩が馬乗りになっていた。天使のような笑みと共に。

「新くん、重たいよー。お腹からのいてくれないかな」

「日奈お姉ちゃんが起きるまで、このままがいい!」

子どもの朝は早いというけど、早すぎる。
枕元の目覚まし時計を見ると、まだ6時すぎだった。
今日は夏休み前の最後の登校日。
ホームルームが終わった後に終業式がある。
それまでの間、宮武先輩と冬月先輩には私の家で待ってもらい、終業式後には二人の面倒を見る係と、元の男子高校生にもどる薬を開発する係に別れる予定になっている。
昨日の夜、ラインで科学研究部会議をして決まった。
ちなみに、新薬研究係は世理子と神奈子、先輩方の世話係は私がすることになった。
新薬研究係になんとしてでも加わりたいと、冬月先輩は主張したけれど、高校に小さな子どもが入ろうとしても、警備員さんに止められるのは明らかだったので、みんなで引き止めた。