ここは保健室。 教室が少し怖かった。 乃がいること。 裕がいることも まだ辛い自分がいた。 “キーンコーンカーンコーン” 学校に行って鞄を開いたら まだあのスティックが入っていた。 ドラムのスティックなんて、 しかも、捨ててあったのに どうして私はこうなんだろう。 ああ、ちゃんと過ごしたい。 あの人に向って真っ直ぐに。 「……こんなの持ってさ。」 もう一度持ち上げてみる。 バンドの空気が懐かしい。 軽音楽部には、行けない。 だって、乃がいるから……。