「…………。」 最初からなかったと思おう。 だって、乃が居ない世界は生きていけない。 友達を失うのは嫌だ。 裕に近付かなければ、他の子とも切れない。 それでいいんだよね? “キィッ……。” 足でブランコを揺らす。 赤くてブランコが、ピンクに見えた。 「そうしたら、また喋ってくれる……?」 胸が潰れそうだった。 吐いてしまいそうなのを、必死に拒絶した。 「乃……、裕が好きだったんだね。」 上を見上げると、鳩が首を傾げていた。 「私、忘れられるから。大丈夫だよ。」 “キィッ……。”