「り、涼香」 後ろから声を掛けられる。 心臓を跳ね上がらせた。 どうしよう。 困る。 そう思いながらも、顔を赤くした。 「裕……」 「今日も、その人と帰るの?」 上目遣いで見る裕に何も答えられない。 愛しいのに、言えない。 「ああ、ごめんね」 「あんた何なんですか」 裕が睨んでいる。 彰人さんはニコニコして彼を見た。 明らかに、余裕だった。