家に帰ると、花は“いつものように”晩ご飯の支度を始めた。
「ハンバーグでイイ?」
「ハンバーグがイイ!」
俺たちのちょっとした口癖だった。
「出来たよ」
席に着いて、ふと思った。
「リアル最後の晩餐だな」
「悲しいこと言わないでよ(笑)」
花は作り笑顔を俺に見せた。
「いつも通り食べようよ」
「そうだな」
でもいつもより箸が進んだ。
「ごちそうさまでした」
俺がそう言うと、花は言った。
「あたし、宏太が笑顔で「ごちそうさまでした」って 言ってるとこが、一番好きかも」
「じゃあこれからはドンドン言いまくるわ」
なんて言ったけど、明日で最後だったね。
「…そんな暗い顔すんな」
後ろから回り込んで、小さな花を抱きしめた。
