遺書~童貞30男の生涯~

伯父は精神病院に入院してからも俺たちに度々迷惑をかけた

ある日俺が学校から帰ると病院から電話がかかってきた

俺はまた遅れている入院費の催促かと思ったが、奴が風呂場の窓から病院を抜け出したという内容の電話だった
その看護婦が言うには、もしかしたらそっちに向かっているかも知れないから気を付けておいて欲しいという事だった

俺は、病院から家までは40キロくらいあるし、まさかそんな事はないだろうと思ったが、あのアル中男なら、やりかねないと思い、その日は俺と親父が一晩中、交替で家の前に立って警戒した

結局奴は家には、現れず、翌朝になって通行人に通報されて病院に戻された

白衣の病院着を着て、トボトボと歩いていたらしい

奴が発見されたのは、家からわずか5キロほどの地点だった

やはり奴は家に帰って来るつもりだったのだ