切なくて、苦しくて、でも、恋しい。

「んじゃ、あたしはまたまた職員室へ行かなくちゃいけないので。
そんで、瀬奈は九条と話すこと!
いいね?」



「…うん。怖いけど…」



「瀬奈なら絶対大丈夫!」



そう言って、私の背中をポンと叩くとピースする。




「鳴海、私がんばるね!」




そして私もピースを返した。




**************



きっと九条はまだ帰っていないはず。

だって机の横に鞄かけてあった。
絶対、九条のだ。




放課後、誰もいなくなった教室で九条を待つ。




外からは、先輩たちの部活の掛け声。
廊下をパタパタと駆け足で居なくなる生徒たち。




「…中3の春がフラッシュバックしそうだな…」




中3の告白した時も、
外は部活に励む生徒たち。

パタパタと駆け足で走り去って行く
生徒会の人たち。




あの時の私は、いけるって思ってた。

九条と私は仲が良いから、
それ以上に見てもらえるって
ずーっと思ってた。




でも、現実はそう甘くはなかった。

どん底に叩き落とされた気分だった。



でも今回は違う。
告白をするわけじゃなくて、
今日あったことを謝るだけ………




そう思いながら九条の机に手を触れようとした瞬間………




「あれ?まだ残ってんの?」



「うわっ!」



びっくりした。
誰か来た…



確認しようと思ってドアを覗くと、
この学年には見たことがない男子生徒。



多分、先輩。



「あ、ごめん。驚かせたよね」



「いえ、大丈夫です…」



本当はめっちゃ怖かったけどね!



それは秘密にしとこう。




「ところでさー、九条見てねぇ?」



「九条ですか?
見てないですけど……」




「まじかー…あいつ、帰った?」



「いや、まだ帰ってないと思いますよ!
鞄が机にかけてあるので」




私が九条の机を指差しながらそう告げると、先輩らしき人は、ホッとした表情で九条の机を見つめる。




「ありがと!
あ、そだ。俺、2年2組の染谷 陽な!」



そう言って先輩は笑った。



やっぱり先輩だったんだ。



染谷先輩は、
身長も高くて、髪の毛は少しだけ茶色くて、ジャージを着ている。


スラッとした体型。

そしてイケメン。



左耳だけに黒のピアスがついていて、
なんだか驚いた。




「あ、私は霧山 瀬奈です!
1年2組です!」




すると染谷先輩はニッと笑ってから、
こう告げる。




「俺、サッカー部な!
九条のことどうしてもサッカー部に入れたくてこの教室来たんだけど…
伝えてもらっても良い?霧山さん」



ドキッとした。



私の名前が呼ばれた時、
ドキッと…した。




「は、はい!わかりました。
伝えておきますね!」



「よろしく頼むね!
あ、そしたら明日1年のフロア行くわ」



「おっけーです!」




「そんじゃ、俺行くねー」




そう言って先輩は走り出す。



なんだろ…めっちゃかっこよかった。




ジャージは長ジャージを膝のとこまで捲ってるし、ちょっとチャラいみたいな感じで……




って、いやいやなに考えてんだ!


それより、九条…



まだかな…?