次の日私はダッシュで教室に行く。



鳴海は先生に呼ばれて職員室へ。


私は捕まらなかったため、
教室にそっこーする。



ガラッとドアを開けると、珍しく今日は教室がシンとしていた。




私が不思議に思いながら自分の席に歩いて行くと、クラスの女の子に、話しかけられる。




「あ、あの…霧山さん」



「うん?」



「噂って本当?」



「え?噂って?」



見に覚えもないことを言われて、
私はなんのことなのかさっぱり分からない。



すると、話しかけて来た女の子はさっきよりも小声で話して来る。




「九条くんと、霧山さんが付き合ってるっていう噂」



「…は?!」



なんなのその噂!

いつ流れたの、そんな噂……




「霧山さん、もう一回聞くけど…
本当なの?」



「違うよ…私と九条はそんな関係なんかじゃないよ」



笑顔が引きつりながら私は話した。



するとその女の子は、今度は半ば睨みながら問いかけてくる。



「でもさ霧山さんって、中学の頃、九条くんと仲良くて九条くんのこと好きな女の子近寄らせなかったんでしょ?」



「なに、それ…」



くちびるが震える。



肩も震える。



なんなの、これ…




「霧山さんと同じ中学だった塾の友達から聞いたんだけど…違った?」




笑いながら話す彼女は、
悪意を込めたような表情をしていた。



怖い………




私がなにも言えないでいると、
彼女はだんだん声を荒げる。




「ねー、こっちは質問してるんだけど!
何も言わないんじゃなくて何か言いなよ!!」



「…ちがう、近寄らせないようになんかしてない…。するわけがない」




「じゃあなんで塾の友達はそう言ってたの?近寄らせないようにしてたからじゃないの?」




「…みんなにはそう見えてたのかもね。
でも違うから。…もういいでしょ?
違うったら違うの!!」




抑えきれなくなって、怖かったけど私は叫んだ。



すると彼女はびっくりしたような表情をしてから、「ふーん」と言った。




「ま、霧山さんが嘘ついてるようには見えないし…」




パッと顔を上げると、彼女は冷たい目でこちらを睨んでいて。




「九条くんと何もないんだったら、
九条くんのとこ行って悪口でもなんでも言えるでしょ?」



何言ってるの………?




私が九条の悪口を言いに行くの…?




そんなの……




「無理だよ…」



そう言った時、教室の中の空気が変わった。



さっきもピンと張り詰めていたけど、
今以上に張り詰め出す。




「やっぱりやましい気持ちでも_____」




彼女がそう言った時。




ガラッ___!




「…え、なに?」




九条が本当に悪いタイミングで入って来てしまった。