私、霧山 瀬奈(きりやま せな)は、絶賛片想い中の相手に告白をした。


相手は私と仲がいい男友達の
九条 瞬。(くじょう しゅん)

大体、仲のいい男友達に告白すると関係が崩れるって思ってるけど、


私は違った。


崩れてもしょうがないんだ。


伝えなかった方がきっと後悔する。


「…ねぇ、九条。私たちがさ一年生の頃のこと覚えてる?」


この気まずい空気に耐えられなくなった私は苦し紛れに質問する。


私たちは受験生の中学3年生。


中学1年生といったら、今から2年前になる。


私はその時に恋をした。


「九条が、初めて私に声をかけてくれた時、すっごく嬉しかったんだ。たぶん、一目惚れ。笑っちゃうけどさ」


私は下を向きながらその時のことを思い出しながら話し始める。


九条は、視線を右に向けた。


「私ね、中学1年生の頃からずっと
九条が好き。この気持ちが消えたことなんて一度もない」


素直に私の気持ちをぶつける。


こうでもしないと、九条は私の気持ちを理解してくれなさそう。


「…でも、俺は……お前と仲がいい友達だと思ってて、そんな恋愛として見てなかったから、その…」


九条は口ごもる。


もう、分かってるよ。


分かってるから、言っていいよ


「九条、分かってるよ。分かってるから…だから九条の口からちゃんと振られたい。じゃなきゃ諦め悪くてしつこい女になっちゃう」


がんばれ、私。


今だけは絶対に泣くな。

泣くな、笑え、笑え。


涙の代わりに、笑みをこぼせ………


ぎゅっと手に力を入れる。

涙が出そうだけど、歯を食いしばる。



「…っ、ごめん」


九条の口からちゃんと

「ごめん」という声を聞いた。


「…うん、聞いてくれてありがとね。
とうぶんは無理かもだけど、卒業までの間、仲良く…してください」


友達に戻らないと、きっと私たちは前みたいにバカになって話すこともふざけることも、2人で居れることもなくなってしまう。


そんなの、私が1番避けたい……



「あたりまえだろ、俺は、ずっと霧山と友達でいるから…」


…ありがとう。


でも、これだけは言わせて。


諦めるまで多分、時間がかかっちゃう。


迷惑かけちゃうかもしれない。


だけど、しっかりと忘れるから…


忘れられるまで、待ってて?