切なくて、苦しくて、でも、恋しい。

どんなに願ったってもう戻れないと思ってた。


縮まらないと思ってた。


だけど、あの日からなんたが話しやすくなっちゃって、中学の頃みたいにまたバカやって話せるようになった。



そんな私たちをみて鳴海は、


「やっぱ私の日常こうでなくちゃ」


って言って微笑んだ。



九条と一緒にいれて、話せて、笑っていられる。



そう、私はこれを望んでた。



だから、九条に対する
好きって想いもどんどん加速して行く。



今なら誓える。



誰になにを言われようと、
私はずっと九条が好き。



本当に今はそう思えるんだ。



でも、私はこのとき知らなかったの。



九条が何に悩んでて苦しんでて、



誰にも話せないようなことを
隠していたのかを、
私はすごい形で知ることになる____



****************


「せーなっ」


「鳴海!」



帰りのホームルームが終わった後、
鳴海は笑顔で私に話しかけてくる。



「あのさあのさ!今日、付き合って欲しいところがあるんだけど…いいかな?」



鳴海からの久々のお誘い。



私も嬉しくて、つい笑顔になる。



「いいよ!
付き合って欲しいところってどこ?」




「今日はさ、けっこー暑いからさ
海行きたくてさ。私たちの住んでるところって、電車で一本のとこに海あるじゃん?」



「海……」



隣町に行けば海があるから、
中学生の頃はよく行ってた。



でも、そこの海は岩が崩れて撤去作業してるはずだから、入れないと思うんだけど……




「そこの海って、撤去作業してなかったっけ?」




「あぁ、大きい岩の?
もう撤去されて、岩もないよ!
だから今年から解放されるの!!
ね?行こうよ!」



いつの間にか撤去されていた大岩。


それなら海に入れる….



「そうなんだ。…って水着とか持ってないけど…」



「えっ…!?全部入るつもりだったの!?」



「え、そうだけど…入らないの?」


海って言ったら水着を着てバッチリ海に入るでしょ!



じゃなきゃただの水遊びだよ…



「あー、入るっちゃ入るけどさ…
なんて言うのかな…足だけ浸かって掛け合い…みたいな?青春だよ、青春!」



「青春…水の掛け合い…」



海=水の掛け合い。
水の掛け合い=青春。



ちょっと違う気がするけど、
まぁ、鳴海がやりたいって言ってるから
水着はなしでやろう。



「わかった、いいよ!」



「よしっ!さっそく海行こー!」



2人で急いでカバンを持って教室から走って出て行く。



そういえば……



九条は教室の中にもういなかったな。



もう帰ったのかな…?



そんなことを思いながら鳴海を追いかける。



早く海へ行きたい…!



海でパーっと久々に遊んだら、
今までのことも忘れられそう。



そして私たちは駅に着くまでの間、
中学生の頃、海に来たとき何をしたとかを話しながら歩いていた。