切なくて、苦しくて、でも、恋しい。

まだ鳴海は私が失恋したことは知らないままで、私はそれを必死に隠してる。


本当はいけないんだろうけど、


応援していてくれた親友に秘密事なんて私が1番やってはいけないって分かってるのに……



まだ言うまで時間がかかってしまいそうで。



きっと話してしまえば、
泣いてしまう。



泣きながら話してしまうだろう。



そんなの鳴海に迷惑かけるだけ………



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入学式が終わって、鳴海と一緒に家へと返っている時に、駅で中学校の頃の友達と会った。



「瀬奈ちゃん!鳴海ちゃん!」



「亜紀ちゃん!」



佐原 亜紀。(さはら あき)


中学校の頃、そんなに交流がなかった亜紀ちゃんと、私達。


クラスも違うから、あまり話さなくて。

でも、九条がサッカー部で、亜紀ちゃんはお兄ちゃんが九条と同じサッカー部にいて、私は九条とも仲良かったし、お兄ちゃんとも仲良かったから亜紀ちゃんのことは知っていた。



そんな関係だったのに、亜紀ちゃんが話しかけてきてくれた。



すると亜紀ちゃんは私達に駆け寄って来る。



「瀬奈ちゃん、鳴海ちゃん、
久々だね!!」



新しい制服に身を包んだ亜紀ちゃんは、
なんだか中学校の頃より全然大人っぽく見えて、遠くから見たら亜紀ちゃんだって分からないほど。



「瀬奈ちゃん達はどこの学校行ったんだっけ?」



「城北高校ー」



「そうなんだ!じゃあ、九条くんが行ったとこだね。」



「そうだよ!亜紀ちゃんは?」



九条という名前に私がビクッと反応すると、鳴海は私の様子を伺って、
私の代わりに言ってくれた。



「私はねー青学」



「青学?!青崎学園だよね!頭いいよね、そこー」



城北も結構なレベルだけど、
青学はそれを上回る。



それに、スポーツが強いから、
中学の頃がんばってきた人は、
スポーツ推薦で青学を狙う人もいる。



「…それに、九条くんも目指してたとこだしね。」



「…え?」



私は、とっさに、声を出した。



九条が、そこを目指してた?

確かに九条は頭もいいしサッカーも上手だったから青学は入れただろうけど、


そしたらなんで城北に………



『7番線に電車が参ります。
黄色い線まで下がってお待ちください』



駅のホームに放送がかかる。



「っと、もう行かなきゃだ。
今度ゆっくり話そう!久々にみんなでさ」



「そうだね、いいよ」



「やった!瀬奈ちゃんも、来るよね?」


「え?あ、うん!行くよ」



「よかった、じゃあまた今度!」



そう言って亜紀ちゃんは電車に乗ってしまって、あっという間に姿が見えなくなる。



「瀬奈」



「…なに?」



「九条、青学目指してたんだね。
瀬奈知ってた?」



「知らない。なんも聞いてない。
九条が城北来るってのも中学の頃の友達から聞いただけだし…」



九条はなにも話してくれなくて、
私だけが切ないだけだった。