きみが教えてくれた夏

ごくり。


唾を飲み込む。
この予測不可能な海音のことだ。
またとんでもないことを言うんじゃないか。



「実は…」



「実は…?」



オウム返しで返してしまう。
海音の瞳が少しだけ揺れて。




「昼飯を忘れた…」



………は、はい?



「…ん?」




なんなんだろう。
この沈黙は。


海音は私に向かって手を合わせて謝罪の言葉を述べてきた。




「え、そんなこと?」



私がそう言うと今度は怒ったみたいに私に詰め寄った。



「そんなことじゃねえ!昼飯だぞ!?昼飯無しになるんだぞ!?」



今までの海音からは想像も出来ない怒りようだ。
だが、これは怒れることなのか。



「すまねぇ!すまねぇ!」



両手を合わせて拝むように。
この光景を誰かが見ていたらヤクザの取り立てかなんかと間違われそうだ。