きみが教えてくれた夏

みーん、みーん。



蝉の鳴き声が近い。
耳元で鳴いているみたいだ。


煩くて煩くて。
やっぱり夏は嫌いだと私に再確認させる。


鳴り止まない蝉の鳴き声も。
溶けてしまいそうなぐらい暑い気温も。



「みーらーい」



昨日と同じように古びた自転車を横に止め、海音が私に手を振ってくる。


昨日となにも変わらない。
木陰で涼しそうな笑みを浮かべる海音も。


私も手を振る。
なんでだろう。
私の心臓も煩いくらいに音を立てる。


まるで、恋をしているみたいに。