きみが教えてくれた夏

「お、終わったよ!」



私が声を掛けると海音は振り返る。
そして、私の姿を見て吹き出した。



「ぶかぶかだなぁ。小人みたいだぁ」



ケラケラと私を見て笑う。
私は恥ずかしくて思わず下を向いてしまった。


そしたら海音は立ち上がって私の耳元の方に駆け寄ってきた。



「でも、似合ってんぞ」



内緒話をするみたいにひそひそと。
そんなことをしなくても此処には二人しか居ないのに。


こんな行動さえ私はドキドキしてしまう。


これが恋と言うものなんだろうか…。


いや、違う。
され慣れてないからドキドキするだけだ。
つり橋効果の様なもので。
別に特別な感情なんてないんだ。


どうせ向こうだって恋だなんて思ってはいないだろう。
むしろ、「恋」なんて単語を知っているのだろうか?