あの頃の私達はまだ幼すぎた

あの後。

結局12時50分というギリギリで滑り込んだ私達だったが。

男女の体力差というものはやはりあるもので。

「もう無理なんですけどぉーー!」

叫んでしまうほど体力は減っていた。

優はさっき置いてきた。

なんか陸上部の人と仲良く話してたからお邪魔しちゃダメだなと思って。

そして今。先ほどと同じように田んぼ道を歩いてる。

けど。

「1人だと結構キツいな…この種目」

どれだけ歩いても田んぼ、田んぼ、田んぼ。

照りつける太陽のせいで今日の気温は28度と夏かと思うくらいの暑さ。

ジャージのポケットにいれていた携帯にイヤホンを繋ぎ音楽を聴きながら歩いていても全然気分は変わらないし。

苦しくなると余計なことを思い出してしまうから。

だから…。 

「…会いたい、会えないもどかしくって…」

優。早く来て…。

「知りたい触れたい…」

「心奪ったのは君なんだ♪」

突然イヤホンが外され聞き慣れた声。

と今流してた曲の歌詞。

「お前なぁー…おいてくなよ」

「ゆ…う…!」

「えっ!?なんで泣きそう!?俺なんかした!?」

「もう置いてかないから一緒にいて…!」

「いやいやおかしい!俺とお前ペアなんだから一緒にいるだろ」

「そうじゃなくて!」

もう人間自分の限界がみえたら素直になってしまうのか。

それとも。優だからか。

「離れてかないで…嫌わないで。」

振り回してしまうとわかってるけど。

この気持ちを隠し通せる自信なんか無いし抑えつけられるはずもないけど。

「迷惑かけるかもしれないけど…友達でいて」