あの頃の私達はまだ幼すぎた

時刻正午をまわり検問まであと300メートル。

不思議と疲れはなかった。

軽く足のだるさをとり少しずつ呼吸と速度をあわせてく。

後ろで縛ってある髪が風と振動で揺れる。

気持ちいい。

「奄上腕もうちょっと力抜け!疲れるぞその走りだと」

「検問まで間に合えばバテてもいいし!」

なんて反抗しながらも腕の力を抜く。

「優元陸上部のくせに遅い」

と挑発したら。

「は。本気だしてないだけだし」

て言いながら追い越して行った。

優の後ろ姿を私はいつもみてた。

触れたくて抱きつきたくて、

振り向いてほしくて。

背は小さいけど身体はやっぱり男の子で。

「羨ましいな…」

羽根をつけて走る優。

必死にその背中を追いかける。

優がいてくれれば前を歩いていけるのかも。

なんて考えながら