あの頃の私達はまだ幼すぎた

パーンっ!

聞き慣れないピストルの音に驚きながらも身体は自然に前に出た。

…のはもう2時間前の事。

女子が先にスタートしその30分後に男子もスタートするはずが急な通り雨でそれが伸びたらしく優達はまだ来ない。

高校のマラソンにしては長すぎる36.195キロという距離はやはり辛く。

第一の検問をクリアした後紫苑はクタクタになってた。

それこそ本当に紫苑を引きずりながら2つ目の検問を目指す私。

9時スタートで6時までに学校につけばいいのにこのマラソンの恐ろしい所は最初の検問から2つ目の検問までの距離が果てしなく遠いこと

「もう紫苑走れない…」

まだ半分も歩いてないのに紫苑は限界で。

「2人くるまでなんとか進まないと間に合わないよ!」

2つ目の検問の制限時間は13時。

そして今の時間11時。

あと2時間しかないのだ。

「もうリタイアしたい…」

「無理!冬とかバイト忙しくなる時期だし!」

「茂達どこぉー?」

携帯で連絡を取り合ってはいるものの2人の姿はまだ見えてこない。