あの頃の私達はまだ幼すぎた

「茂が勝手に書いちゃったんだって!」

「くそ茂のバカ!」

「なんだってぇー?」

準備体操をしてるときに近づいてきたのは茂と優で。

「茂。あんた完走する気ないでしょ」

「はぁー?俺と紫苑なら完走できるしぃー」

と言いながら紫苑の背中に腕をまわしたがそれを振り払った紫苑。

あ、これちょっとウケる。

「それに河心いるんだから大丈夫だろ!」

なっ!と優の背中を叩いた茂。

「引退してからどんだけ経ってると思ってるんだよ…」

今度は優に腹パンチされてる茂。

もっとやれーと思いながらその光景をみる。

「それに女子の方が30分早いからその間に第一ぐらいまでは行けるっしょ」

「奄上走れんの…?」

「確かにお前その脂肪で走れる…」

「は?なめんなよ。紫苑引きずってでも検問突破してやるんだから」

「いや引きずられないし」

~全校の女子生徒はスタート位置まで集合してください~

校内放送が流れ続々とグランドから出てく。

「私達も行こっか」

「あ、ちょい待ち」

茂に長く縛ったポニーテールを引っ張られ元の場所に戻される。

「円陣組もうぜ!円陣!」

「恥ずかしい」

「いいからほら肩組めって!」

しぶしぶ隣にいる紫苑と優の肩に腕をまわす。

「よぉーし。絶対完走すんぞぉーー!」

『おぉっーー!!』

「奄上!」

少し気合いが入った私を今度は優が呼び止めた

「なに?」

「…あとでいいや。絶対追いつくからそれまでリタイアすんなよ?」

「わかった…。待ってるから」

拳と拳をぶつけ紫苑の元まで急ぐ。

「何話してたの~?」

私の気持ちを知ってる紫苑はニヤニヤと笑いながらくっついてきた。

「暑苦しいから!たいしたことないし!」

この時。私の顔は嬉しそうだったと後で紫苑が教えてくれた。