あの頃の私達はまだ幼すぎた

音楽を流し俯きながら学校を出るために玄関に向かう。

家に帰ったら泣けない。

それがわかってるから外で泣く。

不審者ぽいかも知れないけどそんなの気にしていられない。

溜まってた涙がポツリポツリと床に落ちた。

そして。

ドンっ!!

「…ごめんなさ…」

イヤホンを外して俯きながら謝ると。

「…奄上?」

今一番会いたくなかった人。

避けるように横を通ると。

パシッ。

掴まれた右腕。

「どうした!?また親か!?」

私は優しくされることになれてないから。

だから。

優しくしないで。

「菜美?」

「離してよっ!!」

振りほどいた手。

そのまま靴を履き替えて外にでる。

彼女いるのに。優しくしないで。

自惚れる。依存してしまう。

だから。

「奄上!!待てって!俺お前のこと探して…」

「優に関係ないでしょ!!彼女のとこ行けばいいじゃん!!」

もうほとんど八つ当たり。

「なんなの!?忘れてって言ったよね!?」

違う。違うの。こんなこと言いたくないのに