あの頃の私達はまだ幼すぎた

キーンーコーン…。

「ほな、次移動やからちゃんと施錠して視聴覚室前集合な~」

担任の関西弁混じりの挨拶を聞きながら

開いてた教科書を片付ける。

「紫苑行こ」

「もう?早くない?」

「後ろの席なら寝れるでしょ」

「確かに」

「そーいえばさ」

「ん?」

階段を下りながら紫苑が話しかけてくる。

「菜美って東鈴小学校だよね」

「うん。あんまり行ってないけどね」

「うちのクラスに東鈴行ってた子いるよ」

「え……?」

ドクンッと自分の心臓が波打つのがわかる。

「名前忘れたけど…んー…思い出したら言うよ」

「う…ん…」

同じ小学校の人がいる。

そりゃこの辺に住んでる人なら1人2人はいると思ってたけど。

途中から行ってないし、引っ越したから顔を覚えてる人は少ないよね…。

もし…あの人の事まで覚えられてたらとてもやりずらい。

「菜美?先生来たよ?」

「あ、ごめん…!」

うちのクラス全員の顔と名前一致させとくんだった…。