あの頃の私達はまだ幼すぎた

この気持ちを知らないほど私も子供ではない。

でも認めたくなかったし認めたら何かが崩れる気がした。

それに。私は幸せになんかなれない。

あの人がいる限り。私は。

カゴの中の鳥。

「菜美!?どうしたの!」

教室から出てきた紫苑。いつ来たんだろなんて思っていると。

「誰かになんかされた!?なんで泣いてるの!?」

泣いてる…?

不思議に思って自分の顔に手を当てると確かに濡れていた。

あぁ。だから視界が歪んでみえるんだ。

「菜美!!」

紫苑の大声が聞こえたのかそれとも視界の端に私が映ったのかわからないけど優がこちらに気づいた。

そして驚いた表情をした優と。

目があった……。