あの頃の私達はまだ幼すぎた

「菜美。河心と一緒なのどうして黙ってたの」

外まで出ると駐車場で煙草に火をつけながら聞いてくる母。

「ごめんなさい…。そんな関わりないから」

「さっき一緒にいたじゃない」

「あれは…男女ペアで売り子しないといけなくて…それで」

「あー。もういい。それより」

ん。と手を出してくる母。

財布から千円札を5枚だし渡すと満足したのかニコニコ笑いながら頭を撫でられる。

どうしてだろ。泣きたくなった。

「ごめんもう行かないと」

「頑張ってね♪」

背を向けて小走りで玄関まで戻る。

どうやらもう片付けの時間らしく廊下に戻るとみんな店じまいをしてた。

階段を上り自分の教室に入ろうとしたら。

「え…」

教室前で背の低い女の子と楽しげに話す優がいた。

誰…?彼女?

優は優しい。名前の通り優しい男の子だ。
それに背は低いけどカッコ良い。
笑った顔は無邪気で可愛い。

ぷつりと何かがきれる音がした。

そして同時にチクッと胸が痛くなった。