あの頃の私達はまだ幼すぎた

撫でていた手を離す。

「私ね」

「明日お母さんを警察に突き出すの」

「え…」

「本気か?」

「最後の秘密。本当はねお母さんのこと…」

‘この世から消そうと思ってたの’

私のこの言葉を最後に2人は沈黙した。

「呆れるでしょ。本気で企んでたんだもんなおさら」

「いつから…?」

「わかんない。物心ついたときにはもうこの感情が全てだったから」

憎しみ。

それを通り過ぎたのはいつだったけ。

「復讐する事だけが私が存在する意味だと思ってた」

「だから私はここに入ったの」

優が来る前に着替えて壁にかけてある制服。

「未成年。そして親からの暴力に耐えきれなくなった高校生は刑が軽くなると思ってね」

でも。

「入ってすぐ後悔した」

ただの時間潰しでしかない学校生活のはずが。

こんなにも大切なものになるなんて思わなかった。

「それに皆不思議なくらいスルスルと人の心の中に入ってくるんだもん。」

大切な人をあたしは作りすぎた。

「それであたしの計画は変わったの」

「言っとくけど全部本当の話だからね」

すっかりぬるくなってしまったジュースを持ち立ち上がる。

「嫌ってくれて構わない。こんな話して好かれていようなんて思わないから」

カランカランと氷がガラスにあたる音。

冷蔵庫からジュースを出していれる。

「良かった…」

ポツンと聞こえた佳織の声。

「おーうえが犯罪者にならないで良かった!」

「へ?」

振り向いた佳織と目があった。

「だって!そんな人のせいでおーうえが犯罪者になるなんておかしいもん!」

「そうだな。お前が罰を受ける必要なんかないもんな」

この2人おかしいんじゃないか?

この時私は本気でそう思った。

「それにー警察に出せばもう安全でしょ?なら
おーうえが苦しむことが無くなるならそれでいいとおもう!」

「学生の俺達にできることもないしな」

テーブルの上にジュースを置くと手が伸びてきて。

「ってことで!おーうえの新しい生活に乾杯ーー!」

「乾杯ー」

「え?え?」

「ほらグラス持て」

半強制的にグラスを持たされ。

「か、乾杯ー…?」

カチンッ。

グラスとグラスがぶつかる音がリビングに響いた…。