あの頃の私達はまだ幼すぎた

今来た道を引き返すようにして歩いてく。

今まで何回も何回も2人で通ってきた道。

春も夏も秋も冬も。

私は幸せだった。

だからもう。

解放してあげなきゃ。

「奄上…!?」

振り返るな。

振り返ったらもう。

離せなくなる。

本当は離れたくない。

でも。

でも…。

角を曲がりきり道路の脇に止まっていた車に乗り込む。

「…頑張ったわね菜美」

「……早く出して」

エンジンをかけ走り出す車。