あの頃の私達はまだ幼すぎた

「遅いよ」

放課後になり私はいつもの屋上前にいた。

「掃除当番なの知ってるだろ」

「うん」

隣に腰掛けようとした優を止めて立ち上がる。

「帰ろっか」

「あれ話は?」

「…歩きながらね」

違和感を感じたのか私を見つめる優。

「見つめても何もでないよ」

いつものくだらない雑談もあまり聞いてない様子の彼。

バレバレか。

そうして見慣れたマンションが近づいてくる。

「優」

その少し手前。

立ち止まった私に気づき振り向く優。

「…私のせい?」

「なにが」

「彼女と別れたの。私のせい?」

そういうと目を見開く彼。

「そんなわけないだろ…」

「もしそうならより戻した方がいいよ」

「なんでそうなる…」

「あとね」

振り絞るように声を出す。

言わなきゃ。

じゃないと。

きっと後悔する。

「奄上…?」