あの頃の私達はまだ幼すぎた

「菜美、説明」

「あたしは…依存してるんだ。優に」

可愛い袋にいれられたクッキーに手を伸ばす。

「依存?」

「菜美は“愛情”というものを知らない」

「表面上仲良くしてても心の中では何とも思ってない」

「その通り」

「それはわかってるけどそれがどうして依存になるんだよ」

「もぉーバカだな山は。だから彼女できないんだよ」

「それとこれは別だ」

「菜美は諦めてるんだよ。誰も私を救う事なんてできない。なら何も期待しないって」

「つまり。菜美は自分の辛さや弱さを隠して皆と接してる」

「なんかお前の説明難しいんだけど…」

山ちゃんが困ったように信吾さんをみる。

「家の事=菜美の闇なんだよ」

信吾さんは気にしないかのようにクッキーを食べる。

「ずっと誰にもその闇を話すことなく生きてきた菜美は高校で初めて自分の闇を知る者に再会する」

「それから彼は何も出来ない力でなんとか菜美を守っていた」

「なんも守られてないだろ」

傷口を見つめる山ちゃん。

「もちろん。他人の家にズカズカ入っていけるような力も勇気もないでしょこの年の子は」

「じゃあ何を守ってんだよ」

「“心”だよ 」