あの頃の私達はまだ幼すぎた

2泊3日の入院生活から2ヶ月後。

「痛いっ!やめてっ!!」

「どうしてそんな子になったの!」

「いっ!!」

「どうしてお母さんの言うこときけないの!」

せっかくセットした髪の毛を引っ張られベッドの柱に頭をぶつける。

「どうしてなのっ!?」

突き飛ばすように離されて浅く呼吸をする。

「早く学校行きなさいよっ!今すぐ出てけっ!!!」

いやいや。行こうとした時に殴ったのあんただよね。

ピシャと閉じられたら部屋の扉。

大丈夫…大丈夫…。

壊れた鏡や小物類をどけて乱れた髪を直す。

「化粧濃くしないと…」

ガラスの破片で切れてしまった傷や青あざをコットンやファンデーションで隠して。マスクをする。

あとは山ちゃんにしてもらおう。

時間をみれば9時22分。

今から行けば休み時間に間に合う。

いつもより少し量の多い荷物を持ち家を出た。

季節は冬。

12月22日の雪の少ない日。

いつもと同じように通い慣れた通学路を歩き音楽を聴きながら裏門から学校に入る。

ちょうど休み時間の鐘が鳴りだした。

ザワザワと廊下に人の姿が増える。

下駄箱で靴を履き替え職員室を無視して保健室に直行。

ガーンガーン。

グーにした手で透明なガラスを叩いて中に入る。

「菜美お前ガラス叩くなって…」

振り返った山ちゃんの顔にシワが刻まれる。

「…座れ」

「この荷物よろしく」

一番左奥のもう定位置になってるベッドの下のスペースに荷物を置く。

「はーいマスク外して化粧おとすー」

「え。化粧おとすの」

「ファンデーションが傷口に入ったら困るし」

「ぶぅー…。」

渡されたメイク落としでゆっくり化粧を落としてく。