あの頃の私達はまだ幼すぎた

「え、お前河心知ってんの?」

…本当にこのクソ男は。

口を閉じるということを知らないの?

「俺アイツと友達なんだ!なんだお前も知ってたのか…」

「へーえ。知らなかった。」

茂の声に被せるように少し声のボリュームをあげ話す。

「私、小学校あんまり行ってなかったからさ。」 

「だから…覚えてないや。」

避けて通ろう。

どうせ向こうは忘れてる。

「そっか」

「ごめん、今日先帰るね」

「わかった。気をつけて」

カバンを持ちイヤホンを耳に入れ

いつもより音量を大きくして教室をでた。