あの頃の私達はまだ幼すぎた

結局午後の授業は全て寝てた。

いや先生に起こされたけどそれどころじゃないからほっといてほしかった。

後ろの席の紫苑が何度か話しかけてきたけど全く話を聞いてあげる余裕なんかなかった。

「菜美」

帰りのホームルームが終わり帰ろうとしたとき紫苑に話しかけられた。

「なに?」

意外に低い声が出たのは紫苑の横に小さい男がハイエナのように集ってたから。

「思い出したよ」

「なにを?」

紫苑の主語がない言葉を理解できず聞き返す。

「河心優くん、東鈴出身だって」

周りの雑音が聞こえなくなった。

同姓同名の人違いだと思いたかったから。

現実を突きつけられ少しばかり引きつる笑顔。