あの頃の私達はまだ幼すぎた

「菜美ーー!!早くーー!」

「ごめんって!待ってよー!!」

いつの間にか視聴覚室を出ていた紫苑の後を追いかける。

扉のところにクラスの男子達が数人固まっていたのをすり抜けた時。

ドンっ!

…ありがちと言うかなんと言うか。

入って来ようとした男の子とぶつかってしまった。

少女漫画かよ。

なんて自分にツッコミながら慌てて頭を下げる

「ごめんなさい!大丈…夫…」

男の子の顔を見て息をのむ。

「大丈夫。俺こそごめん」

知っている。

私はこの男を知ってる。