*ギヤマンクロウ*




私たちは、またじっと見つめあった。

その人も、私も何も言わない。

パチパチと瞬きをして、その人が一歩中へ入ろうとした。

私はその足の動きを見てハッとする。

「あ!あの!」

一歩踏みしめたその人は、なんだ?というように私を見る。

「あの、靴、脱いでください。その、土足は困るってゆーか・・・」

私はその人の靴を指指しつつ、微妙な笑顔になった。

口を開いた途端、美形に対するにやけと、床が汚れたらヤだなーという気持ちがごちゃまぜに顔に出てしまった。

その人は部屋に入ってる自分の足を一瞬見て、

「追われてて急いでる。靴は脱げない」

と私に鋭い目線を向けた。

ーーーー追われてる?

なんだか物騒な言葉が聞こえたような。

その人はベランダに残ってた足も入れてしまって、振り返ると、網戸とレースカーテンを閉めた。

あーあ、入っちゃった。

嫌だなーと思いつつ、『追われてる』という言葉の意味を考える。

二階のベランダに突然現れる。

全身黒ずくめ。

美形。←(それ関係ある?)

追われてる。

イコール、アブナイ仕事の人?

・・・ヤクザ?

ヤクザさんなの?

そうなんですか!?

私の心に、また恐怖心が戻ってくる。