今からさかのぼること24時間前…



私は橘拓人から呼び出された。
場所は定番の屋上。



「なぁ、俺……。付き合おう。」


は?

好きとも言わずに付き合おう?!

ありえない…



「遊び?そーいうのやめて。」



私はそこまで可愛くない。

だけど月に1回は告白される。

性格つくってるって言うか…。明るい女の子になりきってるからさ。


女子からもある程度人気あるけど、本当の親友はできたことがない。


まぁ、クラスにそこまで可愛くないのにモテる子とかいるじゃん。

それがまさに私なのだ。



「遊びじゃねーよ。お前の恋愛ごっこ見てて興味を持っただけだけど…。」


恋愛ごっこ…。

きっとそれは私の学校生活を見て言ってるんだと思う。


彼氏と別れてはつくって…を繰り返していたから、毎日彼氏がいた。


正直、そこまで好きじゃなくてもカッコよければ付き合っていた。



「それはどーも。でも一応彼氏と別れてはいないので。」


彼氏と別れる気がないときはいつも告白されたら冷たく接するんだ。

いまの彼氏は暇つぶしにちょうどいい。

キスとかもある程度しかしてこないし。




私が屋上から出ようとしたらひきとめられた。




「なら別れろ。今までもそうしてきたんだろ?」




だけどなんであんたの付き合わなきゃいけないのよ。


あんたに何が期待できるわけ?

私に何の利益がある……?



「…俺はお前がやってる恋愛ごっこが嫌いなんだよ…。何かあれば抱き合って、キスして。気持ち悪くてしょうがねぇ…。」


顔を歪めていた。

それはどうも。

……。だったらなんで私に付き合おうなんて言ったんだ…!




「お前…今、彼氏といてすげぇ疲れねぇか?」



いきなり投げかけられた質問に私は…



「疲れる。」


素直に口走っていた…
図星だった。

本当に疲れる。

メール開くと、会いたい。男と話すな。

話すの下手くそだし。

唯一、暇人だから遊びたいときはいつでも会ってくれるところがいいんだけどね。


顔がかっこいいから気持ち悪いとは思わないけど、相手をするのがすごく疲れる。




「俺と楽に付き合おうぜ。」





つまり恋愛感情はお互いなくていいってことか。







言いきった橘拓人はなぜか笑顔だった。

なんだ…結構かっこいいじゃん。

私は結構面食い。だからかっこいい人なら付き合える。

「楽に付き合う」っていうのは私が求めていたものだから、いいや。


実際そうなるとは限らないけど。



「…いいよ。でも他の男と変わらなかったら即別れるから。」




私はそう言い残して屋上から去った。