「ってか家通り過ぎたし。」
いつの間にか、家は真後ろに…。
「は?言えよ。」
「自分の家忘れてた。」
帰りたくなさすぎて。
拓人と一緒にいたいわけじゃないけど、家族といるよりは全然ましだよ。
「ったく。じゃっ!」
片手を挙げて、ヒラヒラ振りながら引き返していった。
「じゃーね。」
拓人に聞こるか聞こえないか分からないくらいの声で呟いた。
ガチャっ
………あっ!!!!
内緒で外出てたの忘れてた!!!!
普通にドア開けちゃったよ…。
「あれ、いまドア開く音しなかった?」
「したな。見てくる。」
そんな声がリビングから聞こえてきた。
えっ。どうしよう。隠れる場所…。
靴箱!!!!…無理か。
あたふたしているとお父さんがもう目の前に。
「美耶…。美耶が帰ってきたぞー。」
リビングにそう叫ぶお父さん。
なんだ。いなくなったこと知ってたんだ。
お母さんは眉間にしわを寄せてお父さんの隣に立った。
「どこに行ってたの!!!!勉強はどうしたの!!!!」
「………は?」
予想外の言葉に間抜けな声が出た。
「は?じゃないでしょ!勉強は?したの?!サボってどこ行ってたのよ!!!!」
勉強、勉強って…お前は家庭教師か。
娘が夜に出ていったんだよ?
心配とかはないの?
勉強?私の心配より勉強…
「何黙ってるのよ!テストの復習は?ねぇ、したの?!高いお金払って私立行かせてあげてるのよ?!」
またそれ…?
知ってるよ。そんなの。
でもそれは…私の重荷なの。私への…プレッシャーなの。


