「はぁ。」 そんなため息が放課後の静かな教室で響いた。 ゆっくりと近づく足音。 「来た…。」 私はガタッと立ち上がりその人を待った。 これでちょうど10回目。 どうせ今回も……。 その人はドアを開け、私の名を呼んだ。 「美耶。帰るぞ。」 そう、その人の名は──── 橘拓人。 私の10人目の彼氏。