“ガチャッ。”
「さ、上がって。」
「お邪魔しま~す……。」
靴を脱いでゆっくりと家に入る。
圭吾の匂いがした。
「凄い、男の子の家に入るの久しぶりなんだけど……。小学校以来だよ……。」
どうしてもキョロキョロしてしまう。
何だか落ち着かない。
「他の奴の家にも、入ったんだ……。」
「あ、小学校だから遊びに行っただけだよ。」
「…………。」
何だか、不思議。
愛されてるのかなって思うときと
それを実感するときの差が激しい。
「あ、この漫画。いとこが読んでた~。」
話をそらそうと思って、話を切り出す。
このままじゃ、ダメだって思って。
「…………遥。」
「ん?」
「好きだから、今は何もしない。」
「…………うん。」
「でも、これだけ約束しよう?」
胸の鼓動が、聞こえそうな静寂。
「他の男の話は、しないで。」
そのとき絡んだ細くて長い圭吾の指に、アタシは素直に手を重ねた。


