「……メールで呼ばれて、言われた。」

“まもなく、渋谷、渋谷です。お出口は、右側です。”

友香の降りる駅が近づく。
ねえ、真相を聞けないまま君は行ってしまうの?
お願い、待って。
そんなこと、口で言えるはずなかった。

「……ごめんね。」

最後に、君の涙だけが見えて。
それからは、君が行ってしまって。
まぶたの裏に残る残像に、アタシは戸惑っていた。
ねえ、置いていかないでよ?
ねえ、泣かないで。
怒ってなんかないのに、拒絶しないで……。
悲しくなった。無性に。

「谷口……?」

一人で泣いていた、そんな顔してほしくないのに。

「……ゴメン、なんか。」

君はそう言って、次の駅で降りていった。

ねえ、誰かアタシに優しくしてよ……――――!!