Assassins

亮二は身一つ、何も持ち物はない。

準備はすぐに済んだ。

「何をしている」

肩越しに牧師を見て、亮二は言う。

「急げ。伊庭は長くは待ってくれないぞ。ここを出る準備を」

「いいえ、私は残ります」

微笑みを湛えたまま、牧師は言う。

「私の役目は、ここに残って貴方のような組織子飼いの暗殺者の動向を伝える事。いつここにやって来て、ここでどのような行動をとって、いつここを出発したか。逐一報告するのが私の任務。ここを離れる事は出来ません。例えここが修羅場と化し、その闘争に巻き込まれて命を落とす事になっても」

「……」

無言のまま、亮二は再び牧師に背を向ける。

そう。

暗殺者とはそういうもの。

暗殺者に関わる者とはそういうもの。

組織の関係者は人間ではない。

組織に忠実に動く駒、消耗品でしかない。