だが、そんな暗殺者も人間だ。

仕損じる事もある。

「くっ」

部下に運転させ、軽装甲機動車で場を離れる小野寺の姿が見えた。

すぐに踵を返し、後を追おうとする亮二。

しかし。

「やめろ」

松岡が亮二の肩を摑む。

「時間をかけ過ぎた。すぐに別の部隊が集まって来る。これ以上は無理だ」

「っ……」

普段表情一つ変えない亮二が、珍しく歯噛みした。

千載一遇のチャンスだった。

ここを逃せば、次の機を待たなければならない。

が、暗殺者は引き際も肝心。

時間をかけ過ぎ、しくじった時は速やかに場を離れなければならない。