「何て事だ!」

コンテナ船の狭いコンテナの間。

小野寺は蒼い顔をして走る。

「くそっ!くそっっ!畜生!」

その口から零れ出るのは、罵声ばかりだった。

俺は陸上自衛隊一佐だぞ!

バッドカンパニー指揮官だぞ!

誰もが俺には敬意を払う!

廊下を歩けば敬礼され、俺の命令には絶対服従なんだ!

どんな命令にだって従う!

俺の一声で一個師団だって動く!

射殺しろと言えばどんな相手だって射殺する!

そんな俺が、何故!

何故こんなコンテナの隙間を縫って、逃げなければならんっ?