階段を昇り切ると、水密扉があった。

静かに、慎重に、その扉を開ける。

「……」

隙間から様子を窺う。

と。

「そんなに警戒しないで入って来い」

声が聞こえた。

忘れもしない、その声。

この声の主を、亮二はずっと追い続けていた。

右手にアイスピックを握り締めたまま、艦橋に入る。

…男がいた。

陸上自衛隊、小野寺一佐。

バッドカンパニーの指揮官でもあり、10年前、亮二の村を襲撃して住民を皆殺しにした男。

亮二が復讐を果たすには、この男を殺さなければならない。

必ず殺さなければならない。