船橋へと続く階段を上がる。

一段一段踏み締めるその足は、重かった。

ダメージを負い過ぎたか。

口の中に広がる鉄錆の味を噛み締めながら、亮二は思う。

松岡と伊庭は、ついて来ない。

殺られたか。

まぁ、それはいい。

彼らがいたお陰で、亮二の復讐は随分とスムーズに事が運んだ。

『利用価値があった』

「……」

歯噛みする。

そう思い込んだ。

そう思わなければ、やってられないじゃないか。

俺の復讐に、無関係の二人を巻き込んだんだぞ。

はじめから、捨て駒として利用していただけだ。

そう思わなければ、やってられないじゃないか。