切れた口端、割れた額、折れた奥歯。

どの箇所からも血が滴っている。

先程から、折れた肋骨がズキズキと痛んだ。

唾を飲み込む度に、血の味がする。

折れた肋骨が臓器を傷つけているのか。

長くはもたないな…。

そんな事を心中呟きながら、ゆっくりと立ち上がろうとして。

「がはっっっっっ!」

松岡は柩 千里のトンファーで、顎をかち上げられた!

大柄な松岡の体が宙を舞い、甲板に叩き付けられる。

強かに背中を打ち付け、咳込んだ拍子にまた血を吐いた。

コイツは重症だ。

長い暗殺者稼業の経験から、松岡は自分の怪我が浅くない事を悟っていた。