その頃、都内某所の廃工場。

亮二達はここに潜伏していた。

拘置所で着せられていた囚人服から、逃走中に拝借した服に着替える。

亮二は動きやすい黒装束、松岡は拘りがあるのか黒のライダースーツ。

伊庭は拘置所脱走前に、没収されていた隠密装束を奪い返していたらしく、それを身に付けていた。

「雪村の得物までは手に入れられなかったな」

「何…アイスピックくらい、どこででも入手できますよ」

松岡の言葉に、亮二は答える。

拘置所での天剣星との戦闘で証明した通り、亮二は身近なものを武器として応用できる。

彼の手にかかれば、どんなものでも暗器となった。