天剣星の襲撃、その騒乱に乗じての亮二達の拘置所からの脱走。

「信じらんねぇぜ畜生!」

巽は怒りに任せてパトカーのドアを蹴り上げる。

天下の東京拘置所に襲撃を企てる百八星の非常識さもだが、その騒ぎに紛れて脱走する亮二達もだ。

奴らは倉本や巽の常識さえも超える行動をとる。

「逮捕したからと安心している自分達も甘かった。奴らは只の犯罪者じゃない。その認識が足りなかったんだ」

冷静に呟く倉本。

今彼らがやるべき事は、襲撃に憤る事でも脱走に怒る事でもなく、亮二達の行方を追う事。

彼らは復讐に生きる暗殺者だ。

部外者に危害を加える事はないだろう。

しかし脱獄囚に変わりはない。

一般市民の安寧を守る為、野放しにしておく訳にはいかなかった。